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かめちゃんのBlog

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2004年03月11日

カッコウは巣の外で

 いつだったか、朝霧の中で「カッコウ」の声を聞いたことがある。とても澄んでいて、軽やかで、森の妖精のような神秘的な声だった。
「なんて美しいんだろう……」と瞬く間にその声の虜になったものだけど、残念ながら、その姿は見られなかった。想像力とは恐ろしいモノで、美しい声=美しい容姿=美しい性格と、全部よいよいづくしに違いないと(声しか聞いてないくせに)そんなよいイメージだけが残っていた。
 ま、ご存じの方は多いと思うが、このカッコウ、かなり性格は悪い。昨日の日記に書いたハンマーオーキッドどころじゃない……ってことで、今日はその続き「なんてやつだ-鳥編-」である。
 カッコウは考えた。子どもを育てるのは面倒だ。なにかいい手はないだろうか……。
 人間だったら「ベビーシッターか育児施設に任せちゃえ」となるわけだが、カッコウは「どっかの別種の親を騙して我が子として育ててもらうか」となる。で、彼等の策略は次のとおり。
1.ターゲットの巣に近づき、鷹などの声をまねて威嚇し、その巣から親鳥をいったん離れさせる。
2.その隙に、自分の卵をその巣に産みおとす(場合によっては、その巣にある卵を全部け落としてから、自分の卵を産む)。
3.産まれたひなは、口の中の色など、その鳥のひなと似た色をしている(大きさは他のひなより一段大きくても、その親鳥は気が付かない)。
4.ある程度、大きくなったひなは、自分だけがエサにありつけるように、ほかのひなを巣からけ落とす(親が親なら子も子ですな)。
5.親鳥が騙されたと気づいたときは、時すでに遅し。カッコウのひなは「はい、さよなら」と旅立っていく。
 彼等はこういうやり方をいったいいつ、どうやって覚えたのだろう。たぶん、最初は他の鳥と同じように、自分で巣を作り、卵を暖め、ひなにエサを与え……とやっていたと思うんだが「子どもの育て方がわからないの」といまの若いお母さんたちにあるようなノイローゼにでもなったか、それとも、「子ども、めんどくさい」とネグレストにでもなったか……。ともかく、カッコウは、子育てを他の鳥に任せてしまうという詐欺行為を、何世紀にも渡ってやり続けているのだ。
「そんなカッコウなんて、大嫌いだ!」と叫ぶ前に、実はこんな報告もある。カッコウの被害者・カササギにおける実験で、カササギの巣に、カッコウではなく、ツバメのひなを置いてみた。ツバメはカッコウとは遠縁だ。親指姫を助け、密かに恋をし、密かに去った、心優しい幸せを呼ぶ鳥だ(これぞイメージ先行!)。
 が、そのツバメのひな、ずる賢い大きなカッコウのひなと同じ行動をとったというのである。その小さな身体で、自分より大きいカササギの卵を背中に担ぎ、巣から落としたのだ。カッコウだけではない、「ツバメよ、おまえもか」なのである(他の巣に卵を産むってことはしないけどね)。
 なぜ、生まれたばかりのひなが、こんなむごい行動を取るんだろう。この話が載っている『ダーク・ネイチャー』(ワトソン著)によれば、ツバメのひなは、自分が置かれた環境を察知し、生き残るための秘策に出たということだ。そして、そんな行為に出るのは、カッコウだのツバメだのという「種」の問題ではなく、「可能なときにはいつでもズルをせよ」という、遺伝子のルールに従い、遺伝子自身がそのようにふるまうからだと結論づけている。つまり、あれだね、ドーキンスの「利己的遺伝子」ってやつだね。
 多感な少年少女が、イラク戦争や凶悪犯罪を観て「人間は邪悪だ」とヒトを自然界の反逆児のように感じてしまうケースがよくあるけれど、人間だろうが動物だろうが植物だろうが、自然というモノ自体、思っているほど純粋じゃないようだ。カッコウの行動は、ヒトの社会からみれば「なんてことを」と憤りを感じさせる行為だが、自然のルールからすれば「うまくやってる」ってことになる。善悪のルールがあるのはヒトの社会だけだ。カッコウにいくらお説教しても始まらない。ま、その分、社会のルールで生きるヒトに向かってお説教しよう。
「カッコウみたいなことはしちゃダメよ!」……説得力ないか。

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投稿者 かめちゃん : March 11, 2004 05:17 PM

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