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かめちゃんのBlog

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2004年03月22日

話題にならない万博(2)

 で、昨日の続きだ。
 今朝「万博のことなら」とculiから2冊の新書を渡された。彼の蔵書には「なんでこんな本まである?」と首を傾げたくなるようなヘンな本がいっぱいある。しかしまあ、「これについて調べてるんだけど~」とか言うと「ああ、それなら」と天井まで積み上がった本の山から、参考にしたい文献が発掘されたりするわけで、便利といえば便利だ(発掘に数時間かかったりもするんだが)。
 渡された本の1冊は『博覧会の政治学』(吉見俊哉著・中公新書)で、もう1冊は『トーマスクックの旅』(本条靖久著・講談社現代新書)だ。
 トーマスクック? ……といえば、ヨーロッパを放浪するパッカー必需品の鉄道時刻表? じゃなくて、それを創刊した人物。団体旅行をビジネスとして成功させた旅行代理店の祖だ。彼はもともと家具屋さんで、最初に鉄道を使った団体旅行を企画したのは、ボランティア活動の禁煙運動のためだったそうな。その旅行が評判となり、彼はいつしか、旅行斡旋の仕事を生業とするようになったってわけだ(禁煙運動は続けていたそうだが)。そして、団体旅行を一般に広めるきっかけとなったのが、万博第1号のロンドン万国博覧会(1851年)だったのである。
 彼は、ミッドランド鉄道の社長とクリスタルパレス(万博のメイン会場)の設計者・パックストンの二人に汽車の中で偶然出会い、この二人から、万博への団体旅行を企画して欲しいと頼まれたらしい。ミッドランド地方の一般人をロンドンへ。当時の労働者階級のひとが万博に行くとしたら、費用は一週間の稼ぎ分が飛ぶほどの金額になったらしい。それでも万博人気は大変なものだったらしく、5ヶ月間での入場者数は600万人を超え、トーマスクックは、そのうちの16万5000人を送り込んだということだ。
 彼はいまどきのパック旅行と同じく、雑誌広告やチラシで客を募り、割安の鉄道切符、朝夕2食事付きの宿の提供など、サービス満点の手配を行ったようだ。そして、次のパリ万博で、海外旅行に着手、最終的には大英帝国の総代理店になり世界一周まで企画することになる。
 日本にも当然、団体さんを連れてやってきた。明治5年(1972年)にきたときは「日本の牛肉はおいしい」と賞賛したそうだ。さすがだ、和牛。
 その日本と万博の関係だが、もう1冊の『博覧会の政治学』によれば、最初に幕府が参加したパリ万博(1867年)より5年ほど前、ロンドンでの2度目の万博の開会式に、幕府より派遣された使節団(竹内遣欧使節団)が参加していたというのである。おまけに、展示場に出品もしていたようだ。とはいっても、その品々は、初代駐日公使・オールコックのコレクションで、幕府はノータッチだったようではある。そして、この使節団も、オールコックが幕府に働きかけて実現したものだったというのだ。
 この本によると、確かなことは言えないが、万博と使節団の派遣は偶然同じ時期に重なったのではなく、オールコックが、意図的に図ったのではないかということだ。つまり、大英帝国(ビクトリア女王)への「日本」のプレゼンテーションとして、使節団を(言い方は悪いけど)「生きた展示品」として送り込んだのではないかというのである。時代は西洋万歳、イギリス万歳の帝国主義。万博は、強国の権力を誇示するための道具でもあり、それぞれの植民地の展示は、いわば「見せ物」のような扱いだったようなのだ。日本は植民地ではないにしろ、神秘に包まれた未知の国。西洋の大衆にとっては、「日本人」は「パンダ」が初めて日本に来たときと同じような感覚だっただろう。
 しかし、使節団は、開会式だというのに、みすぼらしい着物姿で参列したようだ。西洋人観客は、エキゾチズムをくすぐるような錦ぎらぎらの民族衣装を期待していたようで、たいそう、がっかりしたそうな。
 みすぼらしい……けど、この遣欧使節団については、『ザ・タイムズ』で「日本人はインテリジェンスな顔つき(でも好感は持てない)」「非常にまじめ」「清潔(とくに食事中)」と評価している(『ザ・タイムズにみる幕末維新』より)。
 この日本、明治時代になってから、万博には積極的に参加したようだ。日本を西洋に劣らない大国であると印象づけるため、利用したってことだろう。
 現在は、万博を政治的に利用する影は薄い。新技術のお披露目会は各業界が独自に主催するフェアに変わり、アートのお披露目会は美術館や賞を競うフェスティバルに変わり、輸入品のお買い物は、デパートや専門店に行けばたいてい事足りる。国を知りたいなら旅行に行くことが一番だが、映画やビデオ、写真集や本を観ることで、ある程度満足できる。……となると、いまどきの万博の役割はなんだろう。
 そこで、来年の愛知万博だ……が、また余計なことを書きすぎて長くなってしまった。愛知万博……もういっか。
 ってことで、明日につづくか、やめるかは明日の気分次第……ですな。はは。

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投稿者 かめちゃん : March 22, 2004 05:40 PM

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