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2004年04月19日

ウソの死

 編集者って、ウケたタイトルは、いつまでも引きずっちゃうんだよなぁ……(やめときゃいいのに)。
 ってことで、『バカの壁』に続く養老さんの新刊が出ていた。『死の壁』である。まったく、タイトルで買わせようとする意図がみえみえなのだ。だいたい、第二弾は失敗するのがオチではないか。しかもテーマは「死」なわけで、なんだか宗教くさくて敬遠したく……な~んて言いながら、しっかりと買った(だって、養老さん好きなんだも~ん)。
 だいたい書いてあることは、すでに別の本で書いてあったり、テレビでしゃべっていたりするんだけど、構成が違うとまた読みたくなるものなのだ。新選組だって、それほど新しい史実があるわけじゃないのに、ものすごい数の関連本が出ている。で、「このエピソードも知ってるなぁ」と思いつつも買い込んでしまう。まあ、世の中、そんなもんだ(ほんとか?)。
 さて、『死の壁』だ。カバー裏の解説を読んで、解剖学者とは、やけにさばさばしているものだなぁ、とあらためて感心した。
「人間の死亡率は100%。だからガンやSARSで騒ぐな」と言うのだ。悪いが、騒ぐよ。なにせ、ご指摘の通り、「死」というものに慣れていないし、身近にないからだ。イラクでは1日に何十人、何百人もの人々が死に至っているというニュースを聞くし、映画やテレビドラマでは、ばたばたとヒトが死んでいく。
 だけど、メディアはリアルな死は伝えないし(映像では現状はみせない)、映画やテレビは作り物だ。フツーに生きている分には、本当の死には、それほど多く接する機会はないのである。だから、騒ぐなと言われても、騒いでしまうのだ(まあ、短命なペットがいると、けっこう死は身近ではあるんだが。でも、毎回、大騒ぎだ)。
 今日、culiが借りてきた『あずみ』という映画を観た。漫画が原作のアクション時代劇だ。まあ、漫画なもんで、荒唐無稽な部分は多々あるのだが、面白かった。娯楽映画として純粋に楽しめたのだ。
 楽しめた……。この映画、主人公が刺客なわけで、とにかく斬り合いばかりがこれでもか、というぐらい出てくる。おまけにテレビと違って、血も飛ばすし、首も飛ばす。そんな殺伐とした映画でも、やはり観た後は「楽しめた」との感想が出てきてしまうのだ。自分でも不気味だ。
 映画は、死を描いていながら、そこに死はない。もし、「これはドキュメンタリーです」なんて言われても、やはり映像で観ている分には、そこに本物の死はないだろう。
 子どもが観るようなテレビアニメでは、血しぶきなんてとんでもないし、ちょっと残酷なシーンを映そうものなら、その1秒後にはご父兄からクレームの電話がかかるらしい。だから、ナイフで斬られようが、鉄砲玉があたろうが、みな、血の一滴も流さず、きれいに死んでいく。いや、ヘタをすると、フツー、ナイフの一刺しでも、人は死ぬっていうのに、何十回も刺されても死ななかったりする。苦しむ姿はワンパターンで、痛がるそぶりはあまりない。
 いまの時代、本物の死に触れる機会が少ないうえに、きれいなウソの死ばかりが身近に広がっている。ウソの死は、ごはんを食べながら、楽しんで観ることができるのだ。
 本物の死とウソの死のギャップは、創造力で埋めるしかない。だけど、そもそも本物の死を知らなければ、埋めようもない。
 簡単に戦争を支持してしまうどこかの首相は、戦地での本物の死を観たことがあるのだろうか。オペラの崇高でかっこいいウソの死に感動し、本物の死に重ねていなければいいんだけどさ。

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投稿者 かめちゃん : April 19, 2004 06:29 PM

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