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カメちゃんのお出かけ帳

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2004年06月05日

地図を片手に

 最近、買わなくなったものがある。地図である。
 初めて行く場所は、インターネットのマップ検索ソフトでものの数秒で調べることができるし、ついでに、最寄り駅までの所要時間を時刻表検索で調べておけば、何時に家を出ればいいのかまで正確にわかる。もちろん、現地で迷わないようにプリントして持ってもいける。いや、いまの時代、わざわざパソコンを立ち上げるまでもなく、歩きながら携帯電話で調べることすらできる。まったく、便利な世の中になったものだ。
 街は常に変化し続けている。昨日まであった家がぶち壊されて、「マンション建ちます!」って案内板がポツンと立ったかと思うと、その数ヶ月後には、真新しいマンションがお目見えする。この家の窓から観る景色すら、この5年間で、ずいぶん変わった。そのたびに、地図は塗り替えられ、昔の地図は使いものにならなくなるのだ。
 海野弘氏がある著書(昔読んだ本なのでタイトルは忘れた)の中で「1920~30年代の地図やパンフレットを片手にパリの街を歩くのが好きだ」ってことを書いていた。変わり果てた街の中に、当時の地図とピタリと合う空間を見つけたときの気持ちはどんなものだろう。心は1920年代に戻り、当時のにぎわいが、頭の中に広がるに違いない。
「……いいなぁ、そういう旅の仕方」ってことで、数年前、スペインに旅行する前に、『ブラウンとホーヘンベルフのヨーロッパ都市地図』って本を手に入れた。これは、16世紀に描かれた挿し絵入りの古地図集だ。「16世紀! 古すぎ!」と思うなかれ。ヨーロッパの旧市街には、何百年も前から変わらずその姿をとどめている教会や城壁がけっこうある。ローマ時代の橋もまだ使っているし、道はそれほど変わらない。おまけにこの都市地図、地図上に、建物や船やヒトの姿などのカラーの挿し絵が丁寧に書き込まれている。地図というより美術画だ。
 その16世紀の地図を頭の中に入れ、その地図と同じ構図で写真を撮り、その地図に描かれたままの橋を渡り、「ちょっと形が変わってるぞ!」と思える教会に足を運ぶ。古い街を旅するには、古い地図は必需品である……な~んてしみじみ思うのは、旅から帰ってきた後、地図を前に写真を整理するときになってから。旅の間は、現代の地図を片手に、「どっち行けばいいんだ!」とけっこう忙しない(旅慣れしてないってことだな)。
 最近は金欠病で海外旅行には行けない(え~ん)。ってことで、横浜の昔の地図なんかを買ってきて眺めていたりする。19世紀末の外国人居留地の細かい区分地図と当時のポストカードを片手に山手を散策すれば、「き、汚い川! この川で魚とってたのに!」「港が見えない! 鉄鋼のクレーンの山で海が見えない!」と泣けてきたりする(え~ん。ヨーロッパと違う)。
 とはいえ、大震災や戦火で破壊された歴史的建造物の復元を見学したりすると「復元でもいいです。こんなんだったんですね」とノスタルジックな気分に浸れる(でも、地図とは違う場所に移動してたりするんですね)。
 百年後、現代の地図を片手に、このあたりを散策するヒトはいるだろうか。やっぱりそのときは、携帯端末でピピピと検索をかけるのだろうか。ホログラムで当時の街並みを再現! なんてサービスもあるかも知れない。でも、この汚い川とクレーンの山を再現されてもねぇ……。

投稿者 かめちゃん : June 5, 2004 12:46 AM

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