MENU
カメちゃんのお出かけ帳

チームマイナス6パーセント

かめちゃんのBlog

« ベランダ菜園 | メイン | 読書中につき »

2004年06月11日

ブラッドベリのキノコ

 カンヌ映画祭でパルムドールを獲得したマイケル・ムーアの『華氏911』(原題:Fahrenheit9/11)に対し、SFの巨匠、レイ・ブラッドベリが、ご立腹だそうな。
 なにを怒っているのかと言えば、1953年発行の『華氏451度』(原題:Fahrenheit451)のタイトルをぱくったから! ということらしい。ああ、そっか。どっかで聞いたタイトルだよなぁ……と思っていたけれど、ブラッドベリだったか。だけど、ヒット作のタイトルをちょっと変えて使うのって、日本の著作物(テレビ番組名とかも)ではよく見かけるものだ。まあ、『華氏911』が政治的な映画で、ブラッドベリの政治的信念とは相容れなかったことが、怒りを助長しているのかも知れない。
 ブラッドベリ……なつかしいなぁ。中学生ぐらいのときに一時期はまった。なかでも『何かが道をやってくる』という作品が好きだったけれど、いまだによく思い出すのは、タイトルは忘れてしまったけれど、自家栽培したキノコを食べることで、キノコに精神を乗っ取られていく町のヒトビトを描いた作品(短編)だ。萩尾望都がマンガ化したこともあって、原作とマンガのストーリーがごっちゃになっているけれど、とにかく怖かった。
 口利きで流行り出すものってけっこうある。たとえばカスピ海ヨーグルト。「いいよ、これ」ってことで、友人の間や近所でどんどん広がっていく。ブラッドベリのキノコも、はじまりは通販の「自家栽培のキノコ」の流行だ。
 近所で広がった「自家栽培のキノコ」。自家栽培に手をだしていない主人公は、そのキノコ栽培にはまり、毎日食べ続けるヒトビトが、少しずつ、人格が変わってきているのではないかと感じ始める。それが思い込みなのか、本当なのかは読者にも最後までわからない。主人公は、キノコがヒトビトの精神を乗っ取ろうとしているのではないかという不安と、そんなバカなことがあるはずがないという理性との間で、最後に、キノコにどっぷりはまった家族に食することをすすめられ、食べるべきか、食べないべきか決断をせまられるのだ。
 信頼している身近な人が、いつのまにか別人になってしまう……という恐怖を描いた作品は過去にも読んでいたけれど、ある食べ物を食べ続けることで、身体の中から、別の生物(この場合はキノコだが)に乗っ取られてしまう……なんて話しは初めてだった。食べ物で変わってしまうなんて怖いなぁ……と思ったが、「いまの子どもがキレやすいのは食べ物のせい」なんて話をきくと、たかがSFと笑っていられない。
 3年ほど前、ある仕事の飲み会で一緒になったヒトが、マジックマッシュルームの話をしていた。「合法だよ、あれは」(当時)と言っては、食べたときのトリップ感を自慢していた。「アホか、こいつ」と思ったけれど、そのときも、ブラッドベリのキノコが脳裏をよぎった。
 SFは、起こりうるかも知れない世界を描く。ブラッドベリは、未来になにを感じて、キノコの話を書いたのだろう。なんだか久しぶりに、ブラッドベリを読みたくなった。
 やっぱ、『華氏451度』か?

投稿者 かめちゃん : June 11, 2004 12:53 AM

コメント


コメント用ボックス

コメントをお寄せくださる際は、お名前(必須)、メールアドレス(必須)、URLをご記入ください。




保存しますか?