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2004年07月29日

ギリシア特集~ギリシア哲学 その1~

  「きみの意見は正論かもしれないけど、説得力がないんだよ」
 久しぶりに観た『朝まで生テレビ!』でのこと。言葉は正確ではないけれど、こんな意味のことを、某司会者が某パネリストに向かって言っていた。
 テーマはプロ野球。「1リーグにすんの? 2リーグのままでいくの?」っていうあの騒動についてだ。今回のパネリストは解説者や評論家、それに選手会会長の古田氏、「近鉄買います」と名乗り出たライブドアの社長さんなどだ。
 いつものごとく、仕事をしながら漠然と聴いていたので、細かな内容は覚えていないのだが、その某パネリストの話に「なるほど、この人の話は、理路整然としていて、わかりやすいなぁ」と感心した直後、冒頭の司会者の言葉がとんだのだ。そして続けて「こういう話は、当事者の古田選手が言えば、説得力がある」ってな感じのことを言ったのである。
「なんで? こんなに説得力あるのに」と違和感バリバリ……ではあったが、司会者の言うこともわからなくもない。しょせん、理論よりも人物(立場)がもの言う世界なのだ。解説者やジャーナリストが非常にいい意見を言っても、当事者(この場合は選手)のひとことのほうが共感を呼ぶ。同じ内容の言葉でも、誰が言ったかで評価が変わったりするものだ。
 むかし、ギリシアにヒッポクラテス(医学の祖とは別人)という青年がいた。彼は、アテナイで有数の名家の息子で、富も家柄も申し分なかった。そんな彼は「出世してやる! 名をあげるんだ! そのために全財産をはたいてでも教えを請いたい!」と願う人物がいた。プロタゴラスというソフィストである。
 ソフィストといえば、理屈をこねて相手を言い負かそうとする詭弁家……という悪いイメージがあるけれど、当時は大いに人気があった。この時期のギリシアは直接民主制。議会には市民全員(市民と言っても人口の40%以下だけど)が参加する。つまり、市民全員が政治家のようなものである。どこかの国とちがって、富や家柄だけでちやほやされる世界じゃない。秀でた人物と評されるには、弁が立たなきゃダメなのだ。
 この青年ヒッポクラテスは、弁術をはじめとするさまざまな知恵を得るにはプロタゴラスに師事するのがいちばんだと考えた。そこで彼を紹介して欲しいと、ソクラテスを訪ねる。そこで「ソフィストなんて、なんにも知らないヒトたちだよん。ぼくもだけどねん。だけど、ぼくは知らないことを知ってるんだよん」と諭されてしまうわけだが、それは徹底した論理的対話による結果なのだ。「高名で人気のある人物」も、ソクラテスの対話の中では無惨にもフツーのヒト(あるいはそれ以下)だと判明してしまう。
『朝まで生テレビ!』のような日本の討論番組を観て居心地が悪くなるのは、論理的に間違ってなさそうな意見が、情緒的な意見に負けてしまう(説得力がない)という場面が多いからかも知れない。
「日本のプロ野球をどうする!」というテーマを、古代ギリシアの議論好きな市民たちに討論させたらどうなるだろう? とふと思った。意味のない想像だけど、きっと、「そもそもプロ野球とはなんぞや」「なぜ、人はスポーツをするのか、そこから考えていかねばなるまい」と根っこから話が及んでいくことだろう。
 ところで、その青年の憧れたプロタゴラスという人物だが……とこの続きはまた明日(か?)


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投稿者 かめちゃん : July 29, 2004 10:59 AM

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