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2004年08月06日

ギリシア特集~本屋さん~

  110年ほど前、イギリスの作家キプリングは、旅行と取材をかねて日本にやってきた。その時、読む本を求めて横浜の洋書屋さんに立ち寄ったのだが、その書棚にある本がすべて海賊版だったことに、たいそうご立腹したそうな(結局、何も買わなかったもよう)。
 この頃の西洋にはすでに「著作権」というルールがきちんと成立していたようだが、現在までの西洋文化の礎となった古代ギリシア文化は、ヒトのものを書き写し、パクり、まねっこし、著者にイチャモンつけて修正させたりしながら成立してきたようである。
 古代ギリシアにも本屋はあった。背表紙がキレイに並んでいるいまの本屋ではない。呉服屋さんの反物の棚のように、くるくると丸められた巻物が積まれている感じらしい。しかも紙はないのでパピルス製。ものすごくかさばるようだ。これで立ち読みするのは至難の業だったろう。
 しかし、本は売れても、そのお金は著者には入らない。劇作家は報酬を要求することはあったらしいが、それも、脚本の複製権ではなく、芝居上演の謝礼という位置づけだった。とはいえ、彼らは自分の著作物を携えて、あちこちで朗読会を開き、その講演料はもらっていたようではある。
 人気のある著作物は、それだけ複製され、語り継がれていく時代。現存する作品は、当時書かれていたもののたった1~2パーセントだという。戦争やら自然災害やらで失われたものが多いだろうけれど、パピルスは耐久性がないため、複製されなければ、オリジナルはすぐにボロボロ。複製されることなく朽ちていった作品も、きっと山のようにあっただろう。
 人気のあるモノだけが残っていくのは世の常だが、一部のマニアにしかわからないような書物の中にも、けっこうおもしろいものがあるのもまたしかり。古代ギリシアでもきっと、そんな少数派の好む作品があったに違いない。それに、人気のあるモノが良い作品とも一概にいえない。もし、人気のない作品でも、後世に長く残しておくことのできる耐久性のある素材がこの時代にあれば(いまもないか)、もっと多くの作品が残り、それら著作物の影響で、いまとは違った価値観の世界ができあがっていたかも知れない。
 ちなみに、アメリカのパックという古典学者が、出土した古代の著作物(紀元前3C~紀元7Cまでのギリシアとローマ)の出土点数から、人気番付をつくっている。1位はダントツ、ホメロスである。2位はデモステネス(アテナイの弁論家)、3位はヘシオドス(『労働と日々』の著者)。弟子に自分の著作物をせっせと書き写させて大量にばらまいていたというプラトンは7位、昨日の話題のアイスキュロスは11位……。ま、1位以外はそれほど点数は変わらない(二桁)が、ホメロスだけは飛び抜けて多い(三桁)ことを思えば、ホメロス人気はホンモノなんだろう。
 さて、現代のネット社会。著作物は、これまでにないほど大量に量産されている。だけど、2000年後までに残るものは、やはり1~2パーセントなのだろう。電子データは、システムが変われば一瞬にしてパァである。国立図書館の蔵書も所詮は紙。燃えてしまえば消えてなくなる。
 果たして2000年後も残っている現代のホメロスは、誰? 
 『どらえもん』?(じゃなく、藤子不二雄?)

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投稿者 かめちゃん : August 6, 2004 11:26 AM

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