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カメちゃんのお出かけ帳

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かめちゃんのBlog

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2004年09月27日

TPO

  昨日のある情報番組で、政治評論家の三宅氏がまた吼えていた。ライブドアの堀江社長の服装について……である。
 記者会見だろうが、公式会議だろうが、堀江社長はいつもラフな格好をしている。というか、普段の仕事も、夏場はTシャツで過ごしているようだ。べつに違和感はない。むしろ、そんなことで激怒している三宅氏が痛々しく見えた。
 まあ、こればっかりは、ヒトというか、環境によるんだろう。堀江氏に違和感を覚えないのは、これまで勤めてきた会社が、やはり服装には自由だったからだろう。Tシャツどころか、忍者の格好をしていたヤツもいた。夏には浴衣でくる社員もいた。おエライさんでも、徹夜明けだと、髪はぼうぼう、服はよれよれ、顔も洗ってない状態で客に会ったりもしていた。なにせ、会社の部屋の隅で寝転がっているのをたたき起こし、そのまま応接室に直行させるのだから。しかし、格好が「無礼」ということで、ビジネスにヒビが入ったなんて話は聞いたことがなかった。ま、いまは知らないけど。
 もちろん、それは、若いベンチャー企業独特の文化なのかも知れない。一般的な産業界では、TPOってやつがある。スーツにネクタイ。女性もスーツ。40度を超える真夏日であっても、そのスタイルは変わらない。楽しいときには笑う。これと同じで、服装は、一種のコミュニケーション手段だからだろう。
 先日のNHKスペシャル『地球大進化』で言っていたのだが、霊長類だけは、顔に豊かな表情を作ることができる。これは目の構造と顔の筋肉が発達したため獲得したものだが、ヒトを含めた霊長類にとっての「表情」は、コミュニケーション手段のひとつだということだ。「ウチの犬だって笑う!」というのは、飼い主の願望がそのように見せるだけで、笑ったような犬の顔が、ヒトの感じる笑いの意味と同義だとは言い難いそうである。これは『人はなぜ笑うのか』(志水彰ほか著/ブルーバックス)に詳しい。
 豊かな「表情」は、霊長類のコミュニケーション手段であり、ヒトも例外じゃない。しかしヒトは、サルにはマネできない他のコミュニケーション手段も持っている。ファッションもそのひとつだということだ。
 ヒトの社会では、時と場所と状況によって服装を替える。わかりやすいのは日本のファッション、着物である。それぞれにランクがあり、TPOが決まっている。花嫁の身内なら留袖、友だちなら訪問着。二次会なら付下げや小紋でもOK。ただし着物の柄は、季節に合わせて……などなど、とにかくうるさい。つまり、着ているもので、そのヒトとの関係がわかるようになっているわけだ。
 もし結婚式で、Tシャツを着ているヒトがいたらどう思うだろう。まず、そのヒトとの間柄がわからない。どんな気持ちで参列しているのか、心が読めない。本来、服装を観ただけでとれるコミュニケーションが、とれなくなるのだ。だから不快感を覚え、「無礼」という言葉で拒絶したくなるのではないだろうか。
 つまり、同じ場で同じ格好をしているヒトになら安心できる。それで相手と同格意識がまず、生まれるからだ。だけど、まったく予期しない格好の相手には、同格どころか、優も劣も善意も悪意も読むことができない。だから不安になるのだ。
 三宅氏が、堀江社長の服装を非難する姿が痛々しく見えたのは、心を読むことのできない相手を目の前にして、威嚇しているだけのように思えたからかも知れない。
 小さいとき、こういう話を読んだことがある。タイトルも詳細も覚えていないが、内容はこんな感じだ。
 ある大発明をした科学者を、国のエライ研究機関に招いた。その科学者は、ボロボロの白衣を着てその機関を訪れたところ「オマエのようなヤツが○○先生であるわけがない。この偽者!」と追い返されてしまった。そこで、今度は立派なスーツ姿でもう一度その機関を訪れた。人々は「ようこそいらっしゃいました、○○先生」と快く招きいれた。
 その科学者は部屋に入ると、いきなり着ていたスーツを脱ぎ始めた。そして、そのスーツを机に放ると「あんたたちが招きたかったのは私ではなく、このスーツじゃろ」と言い捨てて、とっとっと出ていってしまった……ってな話。
 相手の心を形だけで推し量るのはむずかしい。ヒトのコミュニケーション手段は、なんとも複雑ですな。

投稿者 かめちゃん : September 27, 2004 12:49 PM

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