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かめちゃんのBlog

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2004年10月06日

読書の季節『ブランコのむこうで』の巻

 そうそう、区役所から電話があった。前に不法投棄で電話した件だ。あのとき「ここは私道かもしれませんね」と言っていたのに、調べてみたら「市道」だったという話。だから「我々で片づけます」だそうな。結果的に片づくってことでよかったのだが、もし市道ではなく私道(ややこしい!)だったら放置かい? って疑問はそのまま残ってしまった。まあいい。今日の話はそれじゃない。読んだ本の話だ。
 先日、本屋の文庫本コーナーで、星新一の本が平積みになっていた。「なんで今頃、星新一が平積み?」と思って手にとってみたら、長編ファンタジーとある……へぇ。
 星新一といえば、短編SFの巨匠。culiは星新一の父親(星製薬の創業者)のことを書いた長編『人民は弱し官吏は強し』を薦めていたが、役人にやりこめられる話(しかも実話)なんて読む気にはなれず、彼の作品は短編しか読んでいなかった。そんな彼の長編。しかも実話じゃなくてファンタジー……ってことで買ってみた。
 ストーリーの舞台は「夢」の世界。ヒトビトの見ている夢の中(深層心理といったほうがいいのかも)を冒険するお話である。まあ、ありがちな設定ではあるけれど、ひとつひとつのエピソードは実によくできている。とても平易な文体でメッセージもわかりやすい。あまりにわかりやすすぎて、複雑で技巧的なファンタジーを読み慣れているヒトには物足りないかも知れないけれど。
 物語は、主人公の男の子が学校帰りに自分とそっくりの自分を見つけるところから始まる。そっくりな自分を追っているうちに、彼に騙され夢の世界に閉じこめられてしまうのだ。最初はお父さんの夢。お父さんの子どもの頃の原風景が広がる。そこで死んだはずのおじいさんに会い、そこが夢の世界で、毎晩、疲れを癒すために、お父さんはここへくるのだと聞かされる。夢の世界はヒトの数だけあり、ヒトは毎日、現実の世界と自分だけの夢の世界を行き来しているというのだ。
 男の子はそんな個人的な夢の世界を移動して、それぞれの夢の持ち主に出会うのだ。夢の中では王子様や皇帝であるヒトが、現実の世界では病気で寝たきりだったり、仕事がうまくいかず酒浸りだったりする。男の子はそのヒトの夢と現実の両方を見ることができて、そのギャップに驚きながらも、ヒトの弱さと強さを学んでいくのだ。
 どのエピソードも感慨深いのだが、さすがSFの巨匠と思えるエピソードは「赤ちゃんの見る夢」の回である。夢の世界は、現実世界の個人的な経験があって初めて広がる世界だ。でも、赤ちゃんはまだなんの経験もしていない。「赤ちゃんも夢を見るのかしら?」というCMもあったけれど、寝ているときに眼球が動くことから、なんかしら夢を見ているとは言われている。そういえば、モルモットだって、寝ているときに眼球が動く。モルたちもきっと、なんかしら夢を見ているのだろう。では、星氏は、赤ちゃんにどんな夢を見させたか……。
 見える景色は恐竜、マンモス、リスやワニ……。古代、人類が見ていたであろう自然の姿だ。いやまて、恐竜時代にヒトはいたか? これは人類の前世ではないか。つまり赤ちゃんたちは、人類の記憶というより、DNAの記憶を見ているということだ。実際はどうなのかわからない。どんなヒトも赤ちゃんだったわけだから、どんな夢を見ていたのか知っているはずだ。だけど覚えていない。なんで忘れちゃうんだろう。つまんないの。
 幼い頃見た夢で、覚えている夢といえば……暗い家の玄関に座っていると、ドアからゆらゆらしたお化けがいっぱい入ってくるという怖い夢である。たぶん、3,4歳の頃に見た夢だ。毎晩見ていた。で、たぶん母親に話したんだと思う。なんで夢ではいつも玄関に座っているのか。玄関前の廊下の先にトイレがあるから? つまり、トイレにいきたいのをがまんして寝ているから怖い夢を見るんじゃないかってことになった。てなわけで、寝る前に必ずトイレに行くようになったら、怖い夢はピタリと見なくなったのだ。さすがだ。だけど、あのゆらゆらしたお化けのイメージはどこで獲得したものなんだろう。テレビだろうか? それはよく覚えていない。
 夢と現実。星氏はこの話を通して、そのバランスをうまくとることが必要だと主張しているように思える。現実から逃避することは悪いことではない。そうしなければ、バランスがとれなくなってしまうからだ。ただ、その世界につかまり戻って来れなくなってしまったら……この本を読んでみたらどうだろう。戻れる方法が書いてあるからね。


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投稿者 かめちゃん : October 6, 2004 01:00 PM

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