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2005年03月23日

今週のおすすめ本2『ポプラの秋』

2005-03-22.gif『愛知万博』では、事前予約制度というのがあるそうだ。で、現在、その予約状況で一番人気となっているのが、アニメ『となりのトトロ』の主人公の姉妹の住む家……だそうで。
『となりのトトロ』は二回ほど観た。昭和30年代の日本が舞台のメルヘンだ。万博では、そのアニメとそっくりの家を忠実に再現したそうで、家具だけでなく、引き出しの中のものやら新聞やらまで展示しているらしい(今朝の『とくダネ』から)。
 確かに(リアルタイムではないけれど)懐かしい気分になる。しかし、最先端の技術が集まる万博で、昭和30年代の家が一番人気とは、ちょっと意外である。古きを知り新しきを知るの精神? ということだろうか。いや、そんなんじゃなく、ただ、宮崎アニメ人気ってことかも知れない。きっと、そうだな。
 さて、30年代の話ではないのだが、読んで同じようなノスタルジックな懐古気分になった本がある。湯本香樹実の『ポプラの秋』だ。前作の『夏の庭』が評判となった作家のようだが、そちらは読んでいない。だけど、どうやらテーマは同じらしい。老人と子どもの交流……失われつつある世代間の交流だ。
 ストーリーは、主人公の女性が、十八年前に三年間だけ住んでいたという、アパートの大家さんの葬儀に向かうところから始まる。十八年も昔のことで、しかも三年間しか住んでいなかった大家のおばあさんの葬儀に、なんでわざわざ行く?(飛行機まで乗って)。 とまあ、ひとつの謎から入っていく。その理由は、彼女の回想を追う中で語られ現代の葬儀の場でつながる。そして静かな感動~となるわけだ。
 夫の死から立ち直れないでいる母親の元で、登校拒否になってしまった女の子と、頑固で近寄りがたい大家のおばあさん。女の子がおばあさんに対する気持ちは複雑だ。緊張感と親近感、尊敬と畏怖、そして嫌悪と好感……。ふたりの間には微妙な距離感がある。それはアパートの住民たちとの距離とも同じ。頑固そうなおばあさんと一癖ありそうな住人たちと心に深い傷を抱いた女の子とその母親。価値観の違ういろんな年齢の人々が、微妙な距離を保って生きている。
 義理人情でつながるご近所物語なら、懐かしさを覚えて当然だろうけれど、この物語はちょっと違う。誰もが深くもなく浅くもない微妙な関係の中にいる。だけど、おばあさんの葬儀には、大勢の懐かしい顔がそろうのだ。その理由は物語の核心なので秘密~だけれど、昔懐かしい話というよりは、殺伐とした現代の都会におけるおとぎ話という感じだろうか。なのに、読んだ後、懐かしさを覚えるのはなぜだろう。
 母方にしろ父方にしろ、祖母との思い出はそう多くはない。だけど、この本を読んでふと思い出した。懐かしさはここからくるのだろうか。もし、いまも生きていたなら、いろんな話を聞かせてもらえただろうになぁ。


ポプラの秋
湯本 香樹実

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投稿者 かめちゃん : March 23, 2005 12:18 AM

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