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2005年09月15日

DVD鑑賞『グッバイ・レーニン!』

2005-09-15.gif 1992年、スペインのセビリア万博で、打ち壊された本物のベルリンの壁の観た。色とりどりのスプレーで落書きされたブロックの塊は、日本の地下道の落書きみたいで、国の分裂を象徴していた歴史の重みは感じなかった。
 もし、事前に昨夜観た映画『グッバイ・レーニン!』(2003年/独)を観ていたら(ってまだ作られてないって)、まったく違う感想を持ったに違いない。「知る」ということは、それだけ気持ちを豊かにするものなのだろう。まあ、壁はともかく、この映画、久々に良質の映画を観た! と満足させてくれた一本だった。
 物語は、東ドイツの崩壊を背景に家族愛をつづったヒューマンドラマ。内容は重いのにコメディタッチなので力をいれずに楽しめる(重いコメディ……って、どこか『笑いの大学』に通ずるものを感じる)。
 さて、舞台は東西統一前の東ドイツの一般家庭。父、母、姉、弟の四人家族だ。しかし、まだ弟(アレックス)が子どもの頃に、父親は西に亡命、母親は人が変わってしまった。どう変わったかというと……党から勲章を授かるほどのバリバリ社会主義者になってしまったのだ。それから10年後のある日、アレックスは、大規模な反社会主義デモに参加する。情熱からというよりは、みんなが行くから面白そう……というノリのようで、真剣じゃない。たぶん当時の若者の多くも、そんなものだったのだろう。強い信念があるというよりは、時代の風がこっちだから自分もこっち(いまの日本みたいだ)。が、その様子を偶然通りかかった母親に見られてしまう。バリバリの社会主義者である母親のショックはすさまじく、その場で心臓発作を起こし、8ヶ月もの長い間、意識不明の昏睡状態に陥ってしまう。その8ヶ月の間に、ベルリンの壁は崩壊、東ドイツは消滅、母親のアイデンティティとなっていた社会主義は軽蔑すべき資本主義にとってかわってしまったわけだ。まるで小野田さん状態である(いや、小野田さんはラジオを聞いてなんとなく世の中の状況を知っていたんだっけ)。
「お母さん、壁が壊れて資本主義になりましたよ」と教えた日には、ショックで今度こそ心臓がとまってしまうと思ったアレックスは、母親を病院から自宅に連れ帰り、まだ東ドイツ体制が続いているという芝居を打ち続けることを決意する。が、それは容易なことではなく、東の製品は市場から消えて手に入らなくなっているし、町にはコカコーラの大きな看板が立てかけられているし、それこそテレビなんて観られた日には一巻の終わりである。それでも家族や恋人、近所のひとたちを巻き込みながら、東ドイツ生活を続けていく。母が疑問を感じると、そのたび、映画監督希望の友人とふたりででっちあげのニュース番組をつくり、つじつまを合わせていく。この友人がなんともおかしくていいヤツなのだ。
 そんな生活をしていくうちに、母親のための芝居が、次第にアレックス自身のためのものになっていく。どんなにひどい国であっても、祖国を失う喪失感はあるのだろう。母のために作り上げた東ドイツの虚像は、彼がいまはなき祖国に望んでいた理想の国として完結する。
 しかしラスト、母の遺灰を西でも東でも禁止されている方法でまいてしまうという描写に、「国の体制がどう変わろうと、大切なのは家族」というメッセージが心地よく伝わってくる。
 ドイツはいい映画つくりますな(このところ観た邦画があまりにも……でしたから)。

投稿者 かめちゃん : September 15, 2005 11:40 AM

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