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かめちゃんのBlog

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2005年12月27日

読書『拒否できない日本』

2005-12-27.gif  昨日の日記で「書店で在庫切れした本は、アマゾンで注文する……」というようなことを書いた。アマゾンは、言わずと知れた米系オンラインショップである。ここなら小部数の本でも取り扱っているし、書店に取り寄せを頼むより面倒がない。が、たとえ新刊であっても(書店には山積みになっていても)、アマゾンでは買えない本があるらしい。
『新選組!!』のガイドブックと一括発送で注文した本が先行して昨日届いた。日記に書いたように、ガイドブックは年明けになってしまうため、先に送ってきたのである。アマゾンでは1500円以上で送料無料となる。ガイドブックだけではその条件を満たさないため、目に付いた新書を1冊買い足していたのだ。つまりこの本は、どうしても読みたい! という本ではなかった。が、梱包を開け、手にとってページをめくってみたら……とまらなくなってしまった。
 実はこの本、つい最近までアマゾンでは、扱っていなかったらしい。この本を読破した後、ほかの読者の感想を聞きたくてブログをめぐっていたら、そんな話にぶつかった。初版発行は昨年の4月。書店に行けば当然あるにも関わらず、アマゾンでは入荷は1年先! となっていたそうな。この話はかなり前に話題になったようで、「なにをいまさら」って思う人が多いかも知れない。ともあれ、アマゾン側の回答がないため理由ははっきりしないようだけれど、この本の内容からして「日本人には読んでもらいたくない(特に選挙前には)」という経営的あるいは政治的意図があったといわれてもしかたあるまい。アマゾンは「都合の悪い本は売らない本屋」のレッテルを貼られても反論できないだろう。
 この本――『拒否できない日本』(関岡英之著/文春新書)は、毎年アメリカが日本に突きつけている「年次改革要望書」なるものを調べあげ、日本政府が驚くほどその要望書どおりに政策実行してきた状況を報告している本である。簡単にいってしまえば、日本という国は、アメリカが描いたシナリオ通りに動く国であり、そのアメリカ流の「改革」が、日本のためになると信じて疑わない国であるという話である。が、著者は、調べれば調べるほど、その「改革」は、アメリカ企業、アメリカ国民のためのものであり、日本にとっての国益が見られないどころか、日本は独立国としてのアイデンティティをも失うという危機感を抱くに至ったようなのだ。
 その判断が正しいかどうかはさておき(本を読む限りでは、信じる理由は十分ある)、この本からは別のメッセージ――「いい加減、テレビや新聞などから与えられる情報やイメージを鵜呑みにせず、自分自身で調べ、分析し、自分の頭で考えるようにしましょうよ!」――も受け取った。なにしろ、この本の内容は、自分の経験からの考察に加え、誰でも閲覧できるウェブサイトや図書館などの資料によってまとめられているのだ。何も特別な立場にいたために調べることができたわけではない。それでいて、目からうろこが落ちるような重要な情報を、説得力のある報告書としてまとめあげたのだ。
「なにかおかしい」と思ったら、人に聞く前に(安易な情報を信じる前に)、自分で調べ、考えてみること。新入社員が上司から最初にいわれるような、あたりまえのことである。そうしなければ、決して本質がつかめず、理解には至らない。ヘタをすれば、情報を提供する側にいいように利用されるだけだ。そしていま、日本人はその「ヘタ」をしてしまっている。そのことに気づいている人があまりに少ないのではないか?……そんなことを考えさせられた。
 ところで、この「年次改革要望書」という存在を、いったいどのぐらいの人が知っていただろう。毎年10月に提出されているものだそうだが、日本のメディアがこの話題をとりあげることはまったくといっていいほどないようだ(この本で初めて知ったという人が多いようである。当然、自分も)。つまり、メディアは、ニュースにする必要性を感じていないというわけだ(あるいは知らせたくないのかも)。
 が、著者は「数年後の日本がどうなるかを知りたければ、この報告書を読めばわかる」と書いている。それが本当なら国会中継を放映するよりも、よっぽど有意義だ。とはいえ、ニュースにならなくても、この報告書は、米国大使館のウェブサイトで公開されているので、誰でも閲覧できるというもの。ちなみに今年提出されたのはこちら。郵政民営化の要望(→決断を歓迎!)も載っているし、これから整備されるであろう法務制度の改革、医療改革などの要望もある。
 法務制度の改革にあたっては、「外国弁護士に対する提供の自由確保」がトップにあがっている。つまり、アメリカのような訴訟社会にして、ありあまっているアメリカの弁護士に日本で活躍できる機会を与えよ、といっているわけだ。ちょっとしたことでも裁判に訴え、金銭で解決しようとする社会の到来である。本に書いてあるようにマクドナルドでコーヒーをこぼして火傷したら、熱いコーヒーを出したマクドナルドが悪いと訴え金を得る。アメリカで実際にあったというこのようなトラブルネタは、訴訟を起こすために作られていくものだという。そんな訴訟社会も未来の日本像のひとつというわけ。「まあまあ、お互いさまですよ」と許しあう日本人の気質は「あなたのせいですからね。弁償してください。なんなら裁判で片をつけましょう」という気質に変わっていくのだろう(というか、もう変わっている?)。
 そんなアメリカ流の社会を望み、アメリカに頼っていれば大丈夫と信じている人が多いならしかたあるまい。が、改革の結果、訪れる社会を想像しもせずに「改革」=「日本が良くなる」と漠然と思っているだけなら、きっと、多くの人が後悔するような結果になるだろう。もうひとつの話題作『下流社会』(三浦展著/光文社新書)を読んで「ヤバイ、オレって下流層だ」などと納得する前に(といいながら、読んで納得していたのだが)、こちらの本を読んで「本当にヤバイのはいったいなにか」を考えてみてはいかが?

拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる
関岡 英之

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投稿者 かめちゃん : December 27, 2005 02:51 PM

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