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2006年01月21日

読書『白夜行』

2006-01-21.gif いっきに読んでしまった……『白夜行』。でも、期待したほどの話ではなかった。きっと、ドラマを観る前に読んでいれば、まったく違う感想になったと思う。なにしろ、ドラマでネタバレしているので、随所に仕掛けられている「謎」を読み解いていくという楽しみが得られなかったのだ。ミステリーから「謎」をとってしまう(先に知ってしまう)と、こうもつまらなくなってしまうのか……と思いつつも、それでも800ページにも及ぶ長編を飽きさせずに読ませる筆力はおみごとである。
 その力のひとつは、描いている時代にあるだろう。まさに主人公のふたりと同世代にあたるため、70年代から90年代という時代背景が、「いやぁ~、懐かしい~」の連続になってしまったのだ。これ、10~20代の読者と30~40代の読者では、読み方がかなり違っていると思う。
 なかでも(比較的新しいが)『ツインピークス』の影響で「チェリーパイ」が流行った……なんてくだりは、感動もの!(いや……単に『ツインピークス』が好きだったもので)。『インベーダーゲーム』はほとんど思いいれはないが、『スーパーマリオブラザーズ』が出てきたときは、これまた「懐かしい!」と心が躍った。主人公がハッカーなのでパソコン創世記を読んでいるようでもあったし、秋葉原にはあんな(いかがわしい?)ショップがたくさんあったなぁ……等など(秋葉の職場にいた時代があるので)、思い出はつきない。
 と、時代背景に感動してばかりいてもしかたあるまい。この話は、百人読んだら百人違う反応が返ってくるだろう。とくに「この後、雪穂はどうなったか(どうするか)?」を語りあうと、そうとういろんな意見がきけるんじゃないだろうか。
 この女性(雪穂)に感情移入するのはむずかしい。この結末に満足した読者は少ないだろう(小説の出来は絶賛できても)。もし、読者をスカッとさせたかったら、血まみれの亮司を見て「ぜんぜん知らない人です」といいつつも涙を流すとか(ドラマはそうだったかも)、階段から飛び降りて自殺を図るとか、そういう終わり方もあったろう。だが、小説のラストは無情にも、振り向きもせず、白い影のように去っていく。階段を上っていく彼女は、いったいどんな表情をしているのか。それは読者まかせだ。泣いているのか、笑っているのか、それとも、ずっと無表情のままなのか。
 結局、いちばん罪深く思える雪穂が勝ち組で終わる話。「これでいいのか?」とむかついたが、現実なんてこんなもんだろう。検挙されないあくどい事件など山のようにある。が、むかつきながらも、雪穂はこれで、フツーの感覚の人に戻るんじゃないかと思った。亮司との共生関係が消えたことで彼女は過去から解放され、生まれ変わるんじゃないだろうかと。勘の鋭い人間ほど、自分のおかれた環境に敏感に適応していくものだ。人生の支えの消失は、一瞬の悲劇であっても、永遠の悲劇ではないのだ。
 ドラマはこのふたりの関係を「純愛」として描こうとしているが、どんな方向に向かわせるつもりだろう。ロミオとジュリエットとは違った形の「純愛の危険」を描くつもりだろうか。小説を読む限り、このふたりは「純愛」とはまた違う関係だったような気もするのだが、どう感じたかは人それぞれですからな。

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投稿者 かめちゃん : January 21, 2006 12:57 PM

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