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2006年02月06日

読書(まとめて)

2006-02-06.gif NHKの世界遺産を紹介する番組のオープニングに、ゴーギャンの「我々はどこからきたのか、我々は何者か、我々はどこへいくのか」というタイトルの絵を使っている(絵の人物を動かすのはNHKクオリティ?)。この普遍的なテーマは、哲学やら宗教やらの領域のように思えるけれど、最近は生物やら物理やらをはずして考えるのは難しいようである。

『時空を旅する遺伝子』(西田徹著/日経BP社)によれば(これ、実はビジネス書だったりする! 経営者におすすめ)、生命とは「自分自身の安定性」「自己複製能力」「複製エラー」という3つの性質を持った自然現象に過ぎないということだ。生命=自然現象。どこからきて、何者で、どこへいくのか……生命、特に人間だけに、なにか特別な目的を与えられているわけじゃないということだ。

 さて、養老さんの新刊『超バカの壁』(新潮新書)と日高さんの新刊『人間は遺伝か環境か?遺伝的プログラム論』(文春新書)を続けて読んだ。養老さんは解剖学者、日高さんは動物行動学者。両者の著書に共通するのは、人間を「生物(自然)の一部」として語っていることだろう。人間という種の生物的性質から世の中を見渡せば、社会の歪みの原因が見えてくる……というスタンスである。その根底にはさきほどの「人間だけになにか特別な目的を与えられているわけじゃない。自然から汝を学べ」という考えがあるように思う。

 前者は前作(『バカの壁』『死の壁』)同様、編集者が聞き取ったことを書き下ろしたパターン。なので、読みやすい……というより、まるで父親と話をしているような内容だった。とくに今回は「若者の問題(ニートなど)」「テロの問題」「靖国の問題」など、最近のニュースネタを小出しにしているので、家で父に「この問題どう思う?」とふったあとに返ってくる答え(=持論)を聞いているような感じだ。

 後者は「個性や才能は遺伝子で決まるのか、環境で決まるのか」というきわどいテーマだが、親や教育者に知ってもらいたい「子どもはどうすればフツーに育つのか?」という教育に必要な基本的な考え方を提示した本である。 
 日高さんは「人間は数多くの動物たちの中のひとつの種であることを改めて認識して、どのような条件のとき自らの遺伝的プログラムをスムーズに具体化していけるのかを考えなければならない」といっている。遺伝的プログラムというのは、安定と複製(つまり生き延びること)のために、生命各種に都合よく組まれた種固有のプログラムのこと。具体化というのは、次のステップに向かうため(発育、成長)にプログラムを実行すること。人間は、この具体化の部分で多様な選択ができるようになっている(個性や才能はこの具体化の部分で決まってくる)。

 つまり「人間を決めるのは遺伝か?環境か?」の二者選択ではなく、決められた遺伝的プログラムの実行時期にあった環境下(栄養、教育……観るもの聞くもの……などなどなど)におけば、子どもはフツーに成長するってことらしい(ちなみに遺伝的プログラムには、人種差を含め、個体差などまったくない)。なにやら難しそうに思えるけれど、本来、知識など必要のないことなのだ。人間はほかの生物同様、自然にやってきたのである。それを難しくしてしまったのが、養老さんのいう「都市化」なのだろうと思う(日本の場合)。

 養老さんの文章には「都市化」と「自然」の対比がよく出てくる。「脳」と「身体」の対比も多い。「自然を切り離した都市化」、「身体を切り離した脳(意識=自分)」の至上主義。それが現代日本社会。二冊続けて読むと、なるほど、社会の歪というものは「生物としての遺伝的プログラムを軽視していることにあるのかもしれない」と思えてくる。
 21世紀は生物(学)の世紀。「我々はどこからきたのか、我々は何者か、我々はどこへいくのか」の答えは、たぶん、科学的には説明できるようになるだろう。人間は生物=自然現象。その視点に立たなければ、社会も政治も進まなくなるような気がする。とはいえ、宗教を超えるのはまだまだ難しそうだけど。

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養老 孟司

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投稿者 かめちゃん : February 6, 2006 02:46 PM

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