MENU
カメちゃんのお出かけ帳

チームマイナス6パーセント


もるもるってなに?


【モルモット】他人の実験台として利用されるだけの人(「新明解国語事典」抜粋)。

kame 違うって。モルモットはげっ歯目のテンジクネズミ科、テンジクネズミ属の仔うさぎぐらいの小動物。動物園のふれあいコーナーによくいる、耳の短いウサギみたいなアレだよ。

 だけど、モルモットって言葉にはもうひとつ、そういう(↑)意味もあるんだ。だから、「モルモット? え〜、なんかイメージがよくないよ」といわれちゃったりもする。そういう人の多くは、マウス、ラット、モルモットをごっちゃにして覚えていたりするんだよね。つまり、実験動物。なかでもモルモットは、その代名詞になっているってわけさ。

 1843年、ぼくたちの先祖を初めて日本に連れてきたオランダ人は、まさかその50年後、ぼくたちが実験動物として重宝されることになるなんて、想像もしていなかっただろうな。オランダでは、16世紀からずっと、ぼくたちをペットとして愛してくれていたらしいからね。

 もともと南米にいたぼくたちを、ヨーロッパに持ち込んだのもオランダ人だったのではないかという説がある。とはいえその辺の情報ははっきりしていないみたい。大航海時代以降、南米はスペイン、ポルトガル、オランダのコロニーになっていたし、新大陸の珍しい生物を本国に持ち帰るのは、どこの国でもやっていたんじゃないのかな。まあ、いずれにしろ、現地で食用として家畜化されていたぼくたちが、あまりにかわいいから連れて来ちゃったことは確かだろう……たぶん。

 国によって呼び方はいろいろだけど、オランダではぼくたちをマーモット(リス科の動物)の仲間と信じていたらしく、Marmotって呼んでいたんだ。で、日本に連れてきたオランダ人も、ぼくたちのことを「Marmot」と説明したらしい。
「まるもっと?」
 長崎で渡来動物をチェックしていた役人は、ぼくたちの名前を発音通りに「マルモット」と名付けたらしい。だけど、なぜか幕府に届けられたときには「モルモット」に変わっていたんだって。

 英名ではギニアピッグ(guinea pig)っていうんだけど、この命名にも異説いろいろ。ぼくたちは南米アンデス出身なのに、なんでアフリカのギニアになる? これには、南米のギアナ(現在のガイアナ、スリナム、仏領ギアナ)をギニアと聞き違えたからだとか、持ち込まれたときの船がアフリカ経由だったからだとかいわれている。−−ギニアからきたブタ。それにしてもブタとはね。これは鳴き声が、ピーピーとブタのようにうるさかったからみたい。後ろ姿がブタっぽいっていうのも説得力がありそうだけどね。

 その後日本では、渡来動物には和名をつけることになり、ぼくたちは「天竺鼠(テンジクネズミ)」って名付けられたんだ。それはぼくたちが天竺に住んでいる仙人のようなすばらしい生き物だから……ってなわけではなく、明治の学者が、遠い異国からきたネズミってことでつけただけらしい。外国名で使われている単語をみると「マーモット」「ブタ」「うさぎ」「ネズミ」「海を越えてきた」「遠い異国からきた」「ギニア」「インド(南米のことだよ。16世紀には新大陸をインドだと思っていたからね)」などなど。日本では「遠い異国=天竺(インド)」と「ネズミ」がくっついたってことだね。まあ、テンジクブタよりはまし?

 でもモルモットは、生物学的にはマウスやラット、それにハムスターのようなネズミ科ではなかったりする。だからネズミって名前もどうかなぁって思っちゃう。どうもネズミっていうと、ドブネズミをイメージされて、それで嫌われちゃうこともあるからね。
 ぼくたちは、いわゆるネズミ科のネズミたちよりも、ずーっと大昔から生息しているし、最近の研究では、もしかしたらげっ歯目とはちがう、独立した系統のユニークな存在かもしれないっていわれていたりするらしい。そういえば、 約800万年前の地層から、700kgもの巨大モルモット(フォベロミス・パッテルソニ)の化石が 南米で見つかったってニュースもあったけど……それがぼくたちモルモットのご先祖?

 う〜ん……もるもっとってなに?

参考文献:(社)日本実験動物協会 WEBサイトより「肩の凝らない動物のはなし--モルモット」日本エスエルシー(株)田中利男著